エクセルでお金の計算をすると合計金額が合わない?

相談者   Excelでお金の計算をしていると、合計金額が合わないことがよくあります。お金の計算はExcelでしないほうがいいですか?

丸井   合計金額が合わない?どういうことでしょうか。もう少しくわしく教えていただけますか?

相談者   たとえば、こんな場合です。


合計金額が合わない場合とは?


<表X>

A B C D
1 価格 消費税額 税込価格
2 商品甲 ¥193 ¥15 ¥208
3 商品乙 ¥143 ¥11 ¥154
4 合計金額 ¥336 ¥27 ¥363

相談者   この表Xの数式は、こうなっています。

<表X’>

A B C D
1 価格 消費税額 税込価格
2 商品甲 =B2*0.08 =SUM(B2:C2)
3 商品乙 =B3*0.08 =SUM(B3:C3)
4 合計金額 =SUM(B2:B3) =SUM(C2:C3) =SUM(D2:D3)

相談者   表XのセルC4がおかしくないですか?セルC2が「¥15」セルC3が「¥11」だったら、セルC4は「¥26」のはずなのに「¥27」と表示されているんですよ。Excelで計算するとこういうことが多々起こるから、結局いつも合計金額だけは電卓で計算して手入力するんです。この場合だったら、セルC4には、数式を入力せず、「¥26」と入力するわけです。こういうわけで、お金の計算こそExcelに不向きだよなぁと思うんですよ、私は。


なぜ合計金額が合わないのか?


丸井   なるほど、ありがとうございます。よくわかりました。こうなる原因はとてもシンプルです。解の小数点以下が生きているからです。

相談者   解の小数点以下が生きている?

丸井   つまり、セルC2は「¥15」と表示されていますが、本当はB2×0.08の解である「¥15.44」なんです。ただ、表示形式が通貨(円)になっているから、小数点以下を四捨五入した整数が表示されているだけなんです。

相談者   本当は「¥15.44」だけど、便宜上「¥15」と表示しているだけ……?

丸井   はい、その通りです。そして同様に、セルC3は「¥11」と表示されていますが、本当はB3×0.08の解である「¥11.44」です。そして、セルC4は、セルC2とセルC3の合計だから、¥15.44+¥11.44の解である「¥26.88」となり、表示形式に沿って「¥27」と表示されているわけです。


合計金額を合わせる方法


相談者   はー、そうだったんですか。じゃあ、Excelは合っているんですか?

丸井   ええ、そうですね。Excelが計算間違いをすることは99.9%ないと思います。少なくとも、私はそんな状況に今まで遭遇したことがありません。話を戻しますが、こういう場合、つまりお金の計算をする時は、解の小数点以下が生きないようにすると良いです。

相談者   解の小数点以下が生きないように?

丸井   はい。表Xですと、こういう数式を入れます。

<表X”>

A B C D
1 価格 消費税額 税込価格
2 商品甲 =ROUND(B2*0.08,0) =SUM(B2:C2)
3 商品乙 =ROUND(B3*0.08,0) =SUM(B3:C3)
4 合計金額 =SUM(B2:B3) =SUM(C2:C3) =SUM(D2:D3)

丸井   この赤字の部分は、「解の小数第一位を四捨五入する」ための関数です。これで計算結果が必ず整数になります。解の小数点以下は生きません。表示はこうなります。

<表X改>

A B C D
1 価格 消費税額 税込価格
2 商品甲 ¥193 ¥15 ¥208
3 商品乙 ¥143 ¥11 ¥154
4 合計金額 ¥336 ¥26 ¥362

相談者   あ、セルC4がちゃんと「¥26」になっていますね。はー、そうなんですね。いやー、びっくりした。そうかー。今まで私はExcelに間違った指示をしていたんですね。


まとめ


丸井   Excelでお金の計算をする時は、小数点以下の扱いに注意してください。小数点以下が残っていると、合計金額が合わないなどの事態が起こります。小数点以下が発生しうる数式を使う場合は、必ず小数第一位を四捨五入するための関数──

=ROUND(小数点以下が発生しうる数式,0)

──を併用してください。

相談者   いや~すっきりしました。お金の計算もExcelで問題なくちゃんとできるということですね。

丸井   そうですね、おっしゃる通りです。誤解が解けて良かったです。

相談者   今日はどうもありがとうございました。

丸井   こちらこそありがとうございました。


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